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当サイトは、東北関東大震災で被災された方に災害に関する法的知識を提供するボランティアサイトです。

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イデア綜合法律事務所有志

契約関係の問題などAgreement


契約に関する問題



Q1 震災で2ヶ月前に買った自動車が津波に流されてひどく痛んでしまいました。保証を使ってなおしてもらうわけにはいかないでしょうか。同時期に買った大型液晶テレビはどうでしょうか。

A1 
 自動車や家電製品の
保証書の保証内容は、一般的に地震など天災に基づく損傷には保証は及ばないと定められていることがほとんどです。その場合は残念ですがメーカーの保証を受けることはできません。ただし、災害時にはメーカーにより災害時特別修理を行う場合もありますので、メーカーからの情報にはご注意ください。
  また、家電製品の場合、各販売店で、独自の保証期間を設けている場合があります。その内容によっては保証される可能性もありますので保証書を確認するか販売店にお問い合わせください。
  自動車の
車両保険をかけている場合は、その保険内容により保証される場合もあります。多くの車両保険については、水害・風災は保証対象ですが地震・噴火・津波は対象外とされている場合が多いと思われますが、特約で「地震・噴火・津波危険車両損害担保特約」が付されていれば地震が原因で損害を受けた場合でも保険金を受け取ることができます。保険会社にお問い合わせください。



Q2 通っていた英会話学校とエステサロンが地震で営業不能になっています。クレジットや月謝の支払いはどうなりますか。また営業再会しても、避難生活で通うのが不可能な場合はどうなりますか。

A2 
<営業自体不可能であるとき>
 当事者の誰にも責任がなく、英会話学校・エステサロンの債務の履行(授業をすること、エステ施術すること)ができなくなった場合、
特約がなければ民法上の危険負担の問題として、お客の側は代金の支払いを免れることができます。またクレジット契約をしていた場合でも、地震で営業不能になっていることを理由に月々の支払いを拒むことができます。
<通うのが不可能である場合>
 英会話学校・エステサロンとも営業しているけれども自分が通えなくなった場合は、
特定継続的役務提供(エステ・語学教室・パソコン教室・家庭教師・学習塾・結婚相手紹介サービスの6種)であれば、契約書面を受け取ってから8日以内にクーリングオフできます。クーリングオフ期間を経過していても、まだサービスを受けていない部分については、損害金を支払って途中解約できます(法律で損害金(解約手数料)の上限はどんなに高くても3万円以下に定められています)。
 上記6種以外の専門学校では、まだサービスを受けていない部分であれば、通うのが不可能である以上、自己都合による解約希望を書面で申し出てみるべきです。高額の違約金特約や中途解約を不当に制限する特約は、消費者契約法で無効とできる場合もあります。専門家にご相談ください。



Q3 東北地方のある町に旅行を計画して、旅館予約までしていましたが、その町が震災で壊滅的打撃を受けてしまいました。旅館予約をキャンセルしたいのですが、キャンセル料はかかりますか?旅行会社が募集していた旅行に応募している場合はどうですか?

A3 
<旅館のキャンセル>
 国際観光ホテル整備法に基づく「標準モデル宿泊約款」によると、客側からのキャンセルが客側の都合(責任)に基づく場合は、キャンセル料が発生するとされています。この場合は目的地が震災により壊滅的打撃を受けたことが理由でのキャンセルになるので、客側の都合(責任)とはいえず、キャンセル料を支払う必要はないでしょう。
<募集旅行のキャンセル>
国土交通省の「標準旅行業約款」
によると、「天災地変が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、または不可能となるおそれがきわめて大きいとき」は、旅行者はキャンセル料を支払うことなく旅行を取りやめることができるとされています。今回は、少なくとも大震災により安全かつ円滑な旅行実施が不可能となるおそれがきわめて大きいと判断されますので、キャンセル料を支払わずにキャンセルできると考えられます。
 本問とは異なりますが、東北在住の方が、大阪関西国際空港発着のパリ旅行を申し込んでいたが、被災して旅行に行けなくなった場合は、お客の都合によるキャンセルなのでキャンセル料は発生する可能性があると思われます。ただし、旅行会社により特別の扱いをしてくれる可能性もありますので、旅行会社と話し合ってみてください。



Q4 私は電車通勤をしています。3日前に6ヶ月の通勤定期を購入したところ、昨日の震災で線路も崩壊し、復旧の見通しが立たなくなっています。通勤定期券の払い戻しはしてもらえますか?

A4 
 
多くの鉄道の運送約款には、定期券の払戻の規定があると思われますので、その約款の規定に基づいて払戻を受けることは可能です。仮に運送約款に定期券の払戻の規定がなくても、民法の危険負担債務者主義の考えからすれば、残りの期間に応じた払戻が求められると考えられます。詳しくは鉄道会社にお問い合わせください。



Q5 倉庫業者に物品を預けていたのですが、大地震で倉庫が倒壊して物品が破損して使い物にならなくなりました。倉庫業者に何か請求できないでしょうか。

A5 
 物品を預けることを法律上「寄託」といいます。
「標準倉庫寄託約款」40条1項によると地震によって生じた損害については、倉庫業者は預けた人に対して責任を負わない、とされています。よって、標準倉庫寄託約款を用いている場合、大地震が発生し不可抗力で倉庫が全壊した場合には、倉庫業者に対して損害賠償請求などはできないことになります。
 ただし、商品に
地震保険が付されており、保険金が支払われる場合にはその保険金を請求することが可能です。また、倉庫の全壊が不可抗力ではない場合(倉庫業者に落ち度があった場合)は損倍賠償責任を追及できる可能性があります。あきらめずに保険の確認と不可抗力かどうか確かめるべきではないでしょうか。



Q6 大工さんに住宅の建築を依頼していましたが、工事中に大地震に遭ってしまい、完成前の建物が津波に流されて全壊しました。工事代金を支払わなくてはなりませんか?

A6 
 民法上、住宅の建築の契約は、通常請負契約であると考えられます。請負契約では、大工さんが仕事を完成して、注文者に引き渡して初めて報酬を請求することができるとされていますので、本文のように完成前に津波で全壊した場合は大工さんの仕事の完成も注文者への引き渡しもできていませんので、代金を支払う必要はありません。
ただし、
「民間連合協定工事請負契約約款」においては、不可抗力により損害が発生した場合には、請負人(大工さん)は事実発生後速やかにその状況を注文者に通知し、注文者と請負人が協議して、その損害が重大だと認め、かつ請負人に落ち度がないと認められれば、注文者が損害を負担すると定められていますので、この約款が適用される契約の場合は、注文者は代金を支払う必要があります。なお、この場合保険金がおりたりすれば、その限度で代金支払いを免れることはできますが、通常の保険では津波による倒壊まではカバーされないことが多いので注意が必要です。




<リンク集>
東北地方太平洋沖地震への対応について - 消費者庁



湖畔のブランコ




ある湖の湖畔に、大きな樹が植えてあり、その木の枝からブランコがつり下げられていました。


子供達が遊んでいるところを、邪魔しないように遠くから撮影したものです。



(撮影者:坂野)




復興に関する問題



Q1 震災で被災した私の町に都市計画決定がなされると聞きました。都市計画決定とはどのようなものですか。住民の意見も採り入れてもらえるのでしょうか。


A1 
 都市計画とは限られた都市空間を有効的・効果的に活用する目的で作成されるもので、次のようなものがあります。
@市街地再開発事業:細分化された土地を統合して再開発ビルを建てて、併せて道路公園等の公共施設を整備するもの。第一種(権利変換方式)、第二種(収容方式)があります。
A土地区画整理事業:土地の区画の形や質を変更して、道路公園等の公共施設を計画的に配置・整備し、残った土地を元々の所有者に分配する(換地)するもの。分配する土地は、面積減少が許されます。しかし、原則として以前の土地と換地との間はほぼ同じ価値であることが求められます。
B地区計画:地区単位の良好な規制を行う制度。
住民の意見を反映する方法としては、公聴会への参加、都市計画案の閲覧(2週間の自由閲覧期間があります。)、都市計画審議会に対する意見書の提出、まちづくり協議会を結成して住民の意見を集約して自治体に提案するなどの方法があります。
 都市計画決定は、生活や職場の復興に大きく関係しますが、復興を急ぐあまり住民の意見が反映されにくいことがあると指摘されていますので、よりよい復興を目指すため、情報には十分注意しできるだけ参加される方がよいでしょう。



Q2 震災後私の住む地域で、土地区画整理事業が行われることになりました。私の宅地が削られることになりましたが、拒否できませんか。また仮に土地が削られることになった場合に補償はでるのでしょうか。


A2 
 土地区画整理事業は、事業計画に従い、一定地区の土地について、道路・公園などの公共施設の配置を決め、各宅地の区画を整えた上で、従前の宅地に代わるべき土地(換地)を割り当てます。この際に従前の土地から面積が減少したとしても
原則として補償はありません。理由は、面積が減少しても土地の位置や水利、利用状況、環境等を総合すると、区画整理前の土地と区画整理後の土地の価値はバランスがとれていると考えられているからです。ただし、例外的に不均衡が生じた場合は、換地の結果利得を生じたものから金銭を徴収し損失を受けたものに清算金を交付することになっています。
 
面積減少(減歩)を拒否したい場合は、意見書を提出して計画に意見を反映してもらうよう働きかける方法があります。@都市計画を決定する際、A土地区画整理事業計画を決定する際、B事業計画に基づいて換地計画を決定するときにそれぞれ意見書提出のチャンスがあります。それぞれ期間が限られていますから、そのような計画を聞いたらすぐに専門家に相談して行動すべきです。



Q3 いろいろな専門家の方がおられますが、誰に何を相談したらいいのか分かりません。


A3 専門士業にも様々な資格がありますが、それぞれの専門分野に相談するべきです。
きちんとした専門家に相談しておかないと、のちのち、問題が生じる場合があります。例えば、相続問題の相談は相続人の間で、全くもめずに決まった結果(遺産分割協議など)を書面にするだけであれば、弁護士以外でも可能です。しかし相続でもめているときに、そのとりまとめを弁護士以外に依頼すると、仮にまとまっても代理権がないなどの理由で、その遺産分割協議自体が無効とされる場合があります「相続専門」を看板に掲げる司法書士・行政書士には十分ご注意ください)。
以下、大まかな専門分野をご紹介します。
@弁護士:法律相談全般。借地借家問題、マンションに関する法律問題、土地工作物・建物解体撤去に関する法律問題、債権債務取引、不動産担保にかする法律問題、保険に関する法律問題、近隣関係に関する法律問題、損害賠償に関する法律問題、破産に関する法律問題、雇用・労災に関する法律問題、相続に関する法律問題、土地区画整理事業などの都市復興に伴う諸問題、災害救助法その他関連法についての法律問題、外国人の人権問題などの相談に応じます。弁護士は、法律問題すべてに関する専門家ですので、法律に関係する問題かなと思ったら、まず弁護士にご相談ください。
A
司法書士:登記関連相談全般、法律関係文書作成関連相談。被災により死亡した際の相続登記手続き、会社代表者死亡の際の商業登記手続き、借地借家の賃料に関し家主行方不明の場合の供託手続きなど。
B
行政書士:行政関係文書作成関連相談。外国人登録、出入国管理、登録時同社に関連する調査、廃棄物処理法等の許認可手続き、各種営業の許認可手続き、廃業手続き、建設工事入札業務支援に関連する相談など。
C
税理士:税務相談事業:税金問題、特例措置、金融関係の相談が得意。
D
土地家屋調査士:滅失建物の調査・相談業務。建物全壊の場合の登記手続きの前提となる事実関係調査およびこれらに関する相談、境界復元・確定作業などの復興支援も。
E
中小企業診断士:災害復興計画の作成支援。個別企業・商店街の再建・共同化など公的支援策の適用アドバイス、申請手続き、資金調達支援(緊急融資制度の適用支援)が得意。
F
不動産鑑定士:不動産関連相談業務。各被災者の以前の資産(不動産)および権利関係の調査(所有権、借地権、底地、借家権など)、市街地の復興のための基本計画策定、地代・家賃等の調査および評価、不動産評価、権利返還計画の策定および権利調整、不動産の管理運営計画の作成が得意。
G
社会保険労務士:業務上業務外における社会保健関係の相談、申請の業務。健康保険、労災保険等。事業継続困難な事業所に対する労務関係の相談、労基法に基づく諸問題、雇用保険法、安全衛生法等に関する相談が得意。
H
建築士:建築相談業務。建築物の危険度判定、修繕・再築等に関する相談が得意。
I
その他 再開発コーディネター、技術士、各種総合コンサルティングなどがあげられます。





その他の問題




Q1 震災後私の父と全く連絡が取れなくなり、未だ行方不明です。父の不動産や預金はどうなるのでしょうか。また父は被災地で建物を他人に貸しておりその建物も震災で半壊しました。その賃借人から建物を修理するか契約解除をしてほしいと言われています。どうすればいいでしょうか。

A1 
 
お父さんが亡くなったことが明らかになれば相続が発生しますので、相続人が法定相続分で相続することになります(遺言がない場合)し、賃貸人の地位も一緒に相続することになります。 しかし、行方不明では法律上死亡したとは見なされません。この場合、お父さんに成年後見人が選任されている場合はその人がお父さんの財産管理を行います。そうでない場合は、子供であるあなたが事実上の代理人として賃借人と話をする必要があるかもしれません。
 行方不明の方を
いつまでも行方不明のままにしておくと、財産の管理などに大きな問題が出てくることもあります。その場合は失踪宣告という制度があり、これを利用してお父さんを亡くなったものとみなす必要が出てくるかもしれません。「簡易死亡認定制度」という制度もあります。専門家にご相談ください



Q2 残念なことですが、私の家族が震災で死亡しました。どのような届け出が必要ですか。火葬はしていただけるのでしょうか。私の友人も家族が行方不明になり遺体が確認できていないそうですがどうすればいいのでしょうか。

A2 平常時であれば、死亡確認した医師に死亡診断書を作成してもらい死亡届と一緒に市町村に提出します。併せて死体火葬許可申請書を提出し、許可証をもらいます。これが火葬の際に必要です。
 しかし、大災害の場合は、応急的救助のひとつとして災害救助法で遺族が家族の遺体の埋葬を行うことが困難な場合には行政に対して対応を求めることができるはずです。特例措置で埋火葬許可証なしの火葬を認め遺族自らが遺体の搬送埋葬を行うこともあり得ます。
 大災害で死亡したことはほぼ間違いないが、遺体が発見されない場合は、その取調を行った官公署が死亡地の市町村長に死亡の報告をすることがあり、それにより戸籍上死亡の記載がなされる「簡易死亡認定制度」もあります。この場合遺族による死亡届は不要となり、失踪宣告制度を利用しなくても相続が開始することになります。
 参考までに、
阪神淡路大震災の場合には、当時の厚生省が埋火葬許可証なしでの火葬を認める特例措置を通知し、葬祭業者や遺族自らの輸送によって火葬を行うなどの方法で対応せざるを得なかったようです。やむなく遺族が実施した火葬に要した費用については、災害救助法の対象と認められ、実費を自治体が負担することになったようです。お住まいの自治体までご相談ください。




氷河の水



氷河から流れ出る水が、湖を作るとこのような色になる場合があるそうです。



(撮影者:坂野)





バナースペース